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“安易な賃上げ”が会社を壊す──経営者が取るべき一手

「補助金を使ったら、うちもとりあえず給料を上げないと」
ある八王子市の製造業経営者の言葉です。
でも──それ、本当に“正しい一手”でしょうか?

採用難、人手不足のなか、「とりあえず人を増やす」「とりあえず給与を上げる」といった場当たり的な判断が、補助金制度の“赤字リスク”を招いています。

この記事では、
補助金に求められる「賃上げ義務」や「労務KPI」と向き合いながら、
“人を増やす前にやるべきこと”を明らかにします。


現場の声:“人が足りないから増やした”が危ない

製造現場からはこうした声が上がっています:

  • 「新人がすぐ辞めてしまい、かえって教育コストが増えた」
  • 「賃上げしたのに、現場のモチベーションが上がらない」
  • 「補助金が出るからと安易に採用したが、利益率が下がった」

これらはすべて、“経営と現場の生産性設計”が乖離している典型です。

制度解説:2025年の主要補助金と“賃上げ義務”

現在の主な補助金には、下記のような賃上げ要件が付帯しています。

制度名 賃上げ要件 参考URL
省力化投資補助金 賃上げ実施で補助上限が1.5倍(例:500万円→750万円) 公式サイト
業務改善助成金 賃上げ実施が申請条件(30円〜90円引上げ) 厚労省
キャリアアップ助成金 正社員転換で57万円(1人あたり)支給 厚労省

注意点:制度によっては給与支給総額の年平均2%以上の増加が求められることもあります。計画設計がないまま進むと「赤字補助金」となる恐れがあります。

“とりあえず人を増やす”では赤字補助金になる ─ KPI連動の必然

補助金制度には、「人を雇えば補助金が出る」「賃上げすれば得をする」といった誤解が広がっています。

しかし、補助金は「戦略をもって取り組んだ企業」にこそ向けられている制度です。

◆ よくある失敗構図

  • 「採用したが定着せず教育コストがかさむ」
  • 「給与は上げたが粗利が下がる」
  • 「交付後に黒字が赤字化し返還対象になる」

◆ KPI設計が“赤字補助金”を防ぐ

指標名 目的
人時生産性(売上/労働時間) 生産性向上の見える化
1人あたり粗利 賃上げの原資確保
教育投資率 育成成果の証明
離職率 定着性の確保

補助金は「成果指標=KPI」を伴うことで本来の価値を持ちます。

事例紹介:人を減らしても成果が上がった製造業A社

八王子市内の電子部品メーカーA社は、補助金で自動検査装置を導入。

  • 現場人員:マイナス1名(自然減)
  • 生産量:1人あたり+24%増
  • 粗利率:+7%向上

結果として、「人を増やさず賃上げできる原資」を創出しました。

専門家視点:V-I-E戦略で“成果連動型”に

「賃上げ=採用強化」は半分正解ですが、残り半分は「賃上げ=成果還元」の設計がなければ失敗します。

そのために必要なのがV-I-E戦略です。

  1. V(Value):何のためにその仕事をするのか?
  2. I(Incentive):成果に報いる仕組みはあるか?
  3. E(Engagement):本人が主体的に関われているか?

“賃上げして終わり”ではなく、“賃上げが現場の動機になる設計”が補助金活用の鍵です。

まとめ:人を増やす前に、“仕組み”を育てよう

補助金は、人を“むやみに”雇うための制度ではありません。
経営戦略を実現する手段として、設計して活用することこそ本質です。

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