補助金申請＝賃上げ義務。2025年の現実と対応策を解説します
「補助金はありがたいけど、賃上げが条件なんて…」
中小企業の経営者が抱く不安が、いよいよ現実のものとなっています。
申請時には見落としがちな“賃上げ義務”の存在。制度の背景を理解せずに進めてしまうと、返還や要件未達による指摘リスクが待っています。
本記事では、「義務だからやる」では危ない時代に向けて、補助金制度に潜む“賃上げ”の真実と、具体的な対応策を分かりやすく整理しました。
現場の課題：「賃上げ」が前提になる時代へ
2025年度の主要補助金のほとんどが、「申請＝賃上げ義務」の構造に変化しています。
- ものづくり補助金：給与支給総額を年平均＋2％以上
- 省力化投資補助金：賃上げ達成で上限額1.5倍
- 業務改善助成金：事業場内最低賃金の引上げが要件
これらはすべて「中小企業の成長と賃上げの両立」を目的に設計された制度ですが、制度の狙いや背景を知らずに進めると、後で「そんな条件だったのか」となるケースも少なくありません。
制度の背景と構造を知る：「賃上げ促進税制」も連動
制度の裏にあるのは、「賃上げ促進税制」です。中小企業でも下記条件で法人税が大幅控除されます：
- 給与等支給額が前年度比1.5％以上増：15％控除
- 2.5％以上増：30％控除
- 教育訓練費の増加：さらに10％上乗せ
- くるみん・えるぼし認定：さらに5％上乗せ
最大45％の税額控除が可能（出典：社長online）となっており、補助金と税制優遇は“セット”で設計されているのです。
成果モデル事例：制度を使い切った会社の変化
- DX投資×業務改善助成金：松本興産（埼玉）…外注4000万削減し、賃上げ実現（平均＋7％）
- 観光施設改修×補助金活用：花巻温泉（岩手）…単価・集客力向上で20年ぶりの最高益＋長期休暇制度で定着率改善
- 工場自動化×ものづくり補助金：中山鉄工所（佐賀）…「市役所超えの給与」を実現、表彰制度で年100万円支給
補助金は単なる資金支援ではなく、「人材確保・維持」の経営戦略に直結しています。
専門家視点：「制度に振り回されない」ために
「賃上げが義務だから仕方なくやる」という姿勢では、いずれ限界が来ます。
私たちが提案するのは、補助金制度の活用を「人材投資×経営戦略」と捉えること。つまり、
- 売上・利益から逆算した「払える給与」の設計
- 補助金・税制・助成金の“重ね掛け”による費用圧縮
- 人を動かすV-I-Eメソッド（Value／Incentive／Engagement）の導入
まとめ：補助金は“もらう制度”ではなく“人材投資の戦略ツール”
これからの時代、補助金を使うには賃上げが“前提”になります。
ただの条件としてではなく、「社員の定着」「採用力の向上」「利益率改善」といった未来投資の一部として設計しなければ、企業の持続的な成長は望めません。
制度を理解した者だけが、補助金と賃上げを“経営戦略”として活かせる時代です。