賃上げしないと補助金は出ないのか?2025年制度を徹底一覧化
「補助金で設備投資したい」と思って申請を進めていたら…
「3年で給料+2%が条件です」と言われて絶句。
「しかも最低賃金+30円以上で5年維持」──そんな制度が2025年、当たり前になっています。
いま、現場では“補助金ありきの経営”に限界を感じる経営者が増えています。
「賃上げは必要だと分かっている。でも、どうしたらいいのか分からない」
「申請しても、後から返還リスクがあると言われたら動けない」
「今の人手と利益構造で、それ本当に実現できるのか?」
──こうした声が、全国の中小企業経営者から日々上がっています。
制度の複雑化、要件の厳格化、申請作業の高度化。
さらにその先に待っているのは「賃上げ前提」という新たな経営負担です。
この6本シリーズでは、こうした補助金制度の変化と向き合ううえでの“現場の疑問”を一つずつあぶり出し、
「申請して終わり」ではなく、「経営に活かせる補助金戦略」へと昇華させるための視点を整理していきます。
第1回となる本記事では、2025年公募版の主要補助金制度を一覧で整理しつつ、
“賃上げ前提”となった制度構造の全体像と、その現場影響を読み解きます。
賃上げなしの補助金は消えつつある
現在2025年公募分でも、賃金引上げ要件のある補助金は下記の通りです。
補助金名 | 公募主体 | 賃金要件 | 備考 |
---|---|---|---|
ものづくり補助金 | 中小企業庁 | 年平均+2%以上の給与支給総額UP | 要件未達時は返還も |
事業再構築補助金 | 中小企業庁 | +2%要件に追加加点なら+3%以上 | 誓約書必要 |
新事業進出促進補助金 | 中小企業庁 | +2.5%以上、個人賃上げ要件も | 強制力ある賃金測定 |
大規模成長投資補助金 | 経産省 | 全国最低賃金上昇率以上の賃上げ | 年+4.5%前後が目安 |
IT導入補助金 | 中小企業庁 | +1.5%以上(3年間) | 150万円超で適用 |
持続化補助金 賃金引上げ枠 | 中小企業庁 | 交付決定前に+50円以上 | 実施時点に注意 |
補助金を使わずに「実現可能な賃上げ策」を
- V (Value)… 賃上げはなぜ必要か
- I (Incentive)… 補助金・助成金をどう活用するか
- E (Engagement)… 現場をどう巻き込むか
実践例モデル
以下の3社は、補助金制度と賃上げ施策をうまく組み合わせ、成果を出した企業事例です。
例1. 埼玉県 製造業A社
- 平均賃上げ:+2.2%
- 補助金:ものづくり補助金+IT導入補助金
- 成果:検査業務の内製化・DX化で4000万円のコスト削減
例2. 岩手県 温泉旅館B社
- 平均賃上げ:+5%
- 補助金:観光補助金+賃上げ促進税制
- 成果:単価・回転率向上で収益改善
例3. 佐賀県 C社
- 平均賃上げ:+3.1%
- 補助金:大規模成長投資+業務改善助成金
- 成果:自動化投資により原価低減と人員定着
専門家の視点
制度対応を“経営戦略”に変える鍵は「設計」です。V-I-Eメソッドにより、単なる補助金獲得を超えて、持続的な現場変革までを視野に入れた取り組みが可能です。
まとめ
- 補助金と賃上げは今やセットで考えるべき
- 単なる制度対応から、戦略的活用への転換が重要
- 次回以降、さらに具体的な対策と仕組みを紹介